撮影機材の変遷

野鳥撮影にはまって3年。ダンナが写真を仕事にしていることもあり、すすめられるがまま撮影機材もグレードアップしてきました。撮影した画像は全てダンナが整理と処理を行っているので、私の撮影の何が問題で、どうしたら良いかを的確にアドバイスされるので、比較的早く上達できたと思います。
文系、非力な女性でも野鳥が好きで、撮影をしたいと思っている人はたくさんいらっしゃると思います。そんな方々の参考になればと思います。

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野鳥にはまる前

写真を撮る行為には、ほとんど興味がありませんでした。自分のカメラというものも持っていませんでしたし、欲しいとも思ったこともありません。しかし、ダンナが仕事で野鳥の撮影をしに行くのについて回っているうちに、手持ちぶさたもあり、撮ってみたいと言うと、Nikonがはじめて出したNikon1 J1というミラーレスカメラをもらいました。それで時々野鳥を撮ってみたのがはじまりです。当時は何も分かっていなかったので、すべてカメラ任せで、シャッターを押すだけです。それでもたまに良く撮れることもあり、少しだけ野鳥撮影の面白さが分かったような気になっていました。

Nikon1は、とにかく小型軽量で、身長150㎝、体重40㎏で懸垂は1回もできない私にはぴったりでした。レンズは110mmでも、CCDが小さいので、35mm判換算で約300mm相当です。
その後、300mmのレンズを借りて撮影していました。300mmだと、810mm相当で、超望遠レンズになります。ここまで望遠になると、J1の液晶だと思うように狙えず、撮影は困難を極めました。それを見たダンナは、Nikon1のV1という電子ファインダー付きのカメラを貸してくれました。それで一気に狙いやすくなり、野鳥撮影の醍醐味がより理解できた気がします。

Nikon1のシステムは、野鳥撮影にはまるアプローチとして、私には必要な経験だったと思います。自分が好きになるかもわからないうちに、高価なカメラをそろえても無駄になったかもしれませんし、プレッシャーを感じて嫌になっていたかもしれません。Nikon1はとにかく軽かったので、散歩感覚で持ち歩いて、さっと撮れるところが優秀でした。
ただ、今思うと画質的には限界があり、拡大するとあらが見えてきてしまいます。

Nikon D5600

野鳥撮影への興味がわいてきて、そう簡単には揺るがないと判断されたのか、ダンナが急にちゃんとした一眼レフを使うように提案してきました。躊躇していると、「買いに行くぞ」と言われて、カメラ店に無理やり連れていかれました。そこで様々なカメラを実際に手に取ってみて、もしかしてNikon1のシステムよりも軽いのではないかと思えるほど軽いD5600という機種が気に入りました。ダンナもイチオシです。ダブルズームキットには、 AF-P DX NIKKOR 70-300mm f/4.5-6.3G ED VR も付いています。DXフォーマットなので、35mm判換算で、450mm相当になります。これに決めて、買って帰りました。

ここから私の野鳥撮影が本格的にスタートします。ダンナがずっと一眼レフにこだわっていた理由がはじめてわかりました。当時のEVFの出来があまりよくなかったこともありますが、一眼レフの光学ファインダーの見え方は格別です。狙いたいところにスッとカメラを向けられ、ピントもピタッと合います。シャッターを押すと一眼レフ独特の軽い振動と音で、いかにも「撮ったぞー」という感触で、気持ちが良いのです。きっとカメラメーカーはこの感触を大事にしているのでしょう。どんどん野鳥を撮りたくなります。

画質も今までとくらべて格段に良くなり、多少トリミングしても十分に使える画質です。これは良い買い物をしました。
大きさこそNikon1よりもかなり大きくなりましたが、 D5600にAF-P DX NIKKOR 70-300mm f/4.5-6.3G ED VR を付けても880gで、Nikon1 V2 + 1 NIKKOR VR 70-300mm f/4.5-5.6 が887gですから、Nikon1のシステムとほぼ同じ重さです。大きい分、より軽く感じます。

このカメラとレンズによって、完璧に野鳥撮影にはまってしまいました。ここまでは、ダンナの作戦通りだったようで、徐々に乗せられてしまったようです。この機材によって、出不精だった私が毎週休みが待ち遠しくなり、週に二日は野鳥撮影のために出歩いて、1日10kmは歩くようになりました。ダンナはとにかく私を歩かせる作戦だったようなので、その目的は達成されました。私は野鳥撮影の醍醐味を知って、楽しくフィールドを歩けるし、野鳥を調べたりするので、ボケ防止にもなって、一石二鳥も三鳥も恩恵を受けています。D5600 さまさまです。

AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VRの導入

D5600のダブルズームキットは野鳥撮影の導入としては最適のセットだと思いますが、望遠端が300mmなので、しばらく使っていると、いささか物足りなくなってきます。初心者は、望遠レンズでファインダーに狙った鳥を導入するのも難しいので、70-300ズームクラスで十分練習するステップは必要だったと思います。半年ほど使うともう慣れてしまい、もう少し鳥を大きく写したいという欲がでてきてしまいます。

いざ持って帰るとあまりの大きさにちょっとビックリ。

ダンナからの推薦で、NikonのAF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VRの導入を検討しました。これは望遠端が500mmまである野鳥撮影に最適な超望遠レンズにも関わらず、価格が15万前後に抑えられたコストパフォーマンスに優れたレンズです。カメラ店に連れられて、実際に持ってみました。その時はもう野鳥撮影に完全にはまっていたので、何とかなる重さでした。レンズだけで2.3kgもあるので、2Lのペットボトル以上の重いものを持ってフィールドを歩くことになります。それがどういう弊害をもたらすかはあまり理解していなかったのですが、そこは長年撮影をしているダンナのアドバイスに従って、速射ストラップを購入して、肩掛けして重さを分散させて持ち歩く方法にしました。何だかだんだんとランボーとか、アマゾネスのようになってきてしまいました。
さっそくフィールドに出て今までと同様、10kmほど歩いてみましたが、特に問題はありませんでした。速射ストラップのお蔭と、今までの半年間で相当体力も付いていたのでしょう。レンズがいきなり2kgオーバーになっても、特に筋肉痛になったり腱鞘炎になったりしませんでした。でも、重いのは事実です。それよりも鳥を撮りたいという欲望が勝っているだけかもしれません。

写りは、70-300の頃よりも格段に良くなりました。とにかく鳥が大きく写ります。
このD5600と NikonのAF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VR の組み合わせで丸2年間、ほぼ毎週二日フィールドに出て野鳥撮影を楽しみました。この間、ダンナに撮影の基礎を叩きこまれたので、自分の中でも一番成長できた時期だったと思います。

鳥を見つける目も養われたようで、最初の頃よりも野鳥が増えたのではないかと錯覚するほど、野鳥との遭遇率が高くなりました。今まで見過ごしていた野鳥が見えるようになったのでしょう。これも経験によってまだまだ成長できるのが面白いところです。

嬉しいことに、緑書房さんから出た「見つけて楽しむ身近な野鳥の観察ガイド」にも写真が何点か採用され、さらに同社の「身近な野鳥2020カレンダー」にもいくつか私の写真を採用していただきました。大変感謝しています。こういうことがあると、ますます野鳥撮影に没頭することになります。

Nikon Z50

上記のように、D5600と200-500ズームを2年間使い続けて多くのことを学び、野鳥撮影にも慣れてきましたが、どうしても克服できないことがありました。ダンナのように小学生からフィルムカメラで撮影していた人間とは異なり、撮影する状況から瞬時に露出補正ができないのです。

フォーカスを合わせたり、構図を変えたりするのは直観的なので、すぐに上達できますが、露出の補正は経験がものを言うようで、鳥の色と背景の組み合わせによって適宜補正をしないと、どんなカメラでも鳥が露出オーバーで白く飛んでしまったり、アンダーで真っ黒につぶれたりします。暗い背景のシラサギや、明るい空を飛ぶカラスを撮るのは、私には至難の業で、どのくらいプラスにしたりマイナスにすると良いのか分かりませんでした。焦るとプラスとマイナスを間違えたりして、最悪の結果になることもしばしばありました。スポット測光でも背景の影響はかなり受けるので、ちょっとずれただけでも露出がひどく変わってしまいます。
一眼レフの問題は、露出の過不足をファインダーで確認できないところにあります。

それを見かねたダンナがミラーレス一眼への移行を提案してきました。なんでもミラーレス一眼は、撮れる映像がそのまま見えるので、露出の過不足もファインダーで確認できると言うのです。確かにそれができれば、今までのように露出調整で失敗することもなく、ファインダーを覗きながら直感的に操作できるようになるでしょう。

ミラーレスでも、Nikon1の頃よりも格段に技術が進んでいるので、ファインダーの見え方は雲泥の差で、D5600から乗り換えても違和感を感じませんでした。
確かに、露出の過不足がファインダーで確認できます。白いサギが白飛びしていればファインダーでも白飛びして見えますし、カラスが黒つぶれしていてもファインダーで分かります。これは画期的です。設定はダンナにお任せでしたが、絞り優先で、感度自動の撮影モードで、露出補正の簡易設定にしています。そうすると、ファインダーを覗きながら、メインコマンドダイアルをを回すだけで露出の調整ができます。補正値がいくつかなどは関係なく、とにかくファインダーを覗きながら、撮りたいものの露出が適正になるようにダイアルをくるくる回すだけでうまく露出が合うようになります。これは大変直感的で、誰でも簡単に使えるようになるでしょう。背景がこのくらい暗いから-1.3くらいにしようとか、考えなくて済みます。飛んでいたら下げて、つぶれていたら上げる方向に回すだけです。
絞は開放から半段から1段絞ったあたりを使っているので、特に暗い状況になった場合以外はあまり変更しません。絞り優先なので、シャッター速度はカメラに決めさせています。そうすると、人間はフォーカスと露出補正にだけ集中できるので、失敗が驚くほど少なくなりました。

これで私が長年苦労していた露出補正問題が解決しました。ますます野鳥撮影にのめり込みます。

Nikon ミラーレス一眼カメラ Z50 レンズキット NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR付属 Nikon Z50 レンズキット
望遠レンズしか使わないのであれば、ボディ単体で良いのですが、ボディ単体は割高で、Zマウントレンズも使って見たかったのでレンズキットを買ってみました。キットのレンズも大変優秀で、旅行に持って行った時は大変重宝しました。Zマウントの恩恵か、写りは最高です。純粋に持ち歩く時は軽く、コンパクトで普段使いにもおすすめです。
マウントアダプターFTZII FTZ II
FマウントレンズをZマウントで使うための必需品です。純正品なので、安心です。
ちょっと高いと思いますが、基本的に今までFマウントで使っていたレンズはそのままZ50で使えています。同じメーカーなので当然ですね。AFなどで一部のレンズには制限があります。

AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR

ちょうどD5600からZ50に移行しようとしている頃、私たち夫婦の鳥の師匠である某K博士からニコンの超軽量単焦点 AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR(中古)を買わないかと打診がありました。私はよくわかりませんが、位相フレネルレンズという新しい光学技術をつぎ込んだ次世代のレンズだということのようです。ダンナと某K博士が交渉して、1ヵ月ほど使わせていただいて、良ければ中古店の買取価格で購入させていただくという夢のような話になって借りることになりました。

500mmF5.6E PFが届いた時はまだD5600を使っていました。とにかく軽さに驚きました。重さは約1.5kg弱です。今まで使っていた200-500ズームよりも1kg近く軽いのです。それで同じ500mmの焦点距離があり、明るさも同じです。D5600に装着して持った感じは完璧でした。
しかし、フィールドに出て野鳥を撮った結果、いまいち写りがよくありません。個体差かもしれませんが、どうも私のD5600とは相性が悪かったようです。ピントがいまいちのような気がしました。ダンナも悩んでいたようですが、その一週間後に、注文していたZ50が届きました。FTZのアダプタを介して当レンズを装着すると、見違えるように素晴らしい絵を見せてくれました。ミラーレスでは撮像面でピントを合わせるので、レンズの調整が多少狂っていてもビシッとピントが合うようです。中古価格とは言っても元が高いレンズなので、かなり値が張りましたが、買わせていただきました。某K博士に感謝です。

これでNikon Z50 + AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR という野鳥撮影には最強かつ最軽量のシステムができました。Z50はDXフォーマットなので、500mmのレンズは750mm相当になります。画質も良く、当分この組み合わせで撮影を続けるつもりです。
逆光には弱いと言われていますが、基本的に野鳥は順光で撮影するので、特に問題はありません。それよりも、ズームレンズとは一線を画した高解像度の画質に大満足です。

3年前までカメラにさほど興味がなかった私が、この3年間でこんなにも変わったことに自分が一番驚いています。これからも動ける限り、鳥たちの可愛らしい姿を記録して行こうと思っています。

AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VR AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR
2020年の現在でも、未だに需要に対する供給が追い付いていないようで、入手困難なようです。昨年までは注文して半年待ちとか、一年待ちとも言われていました。とにかく500mmの超望遠レンズとしては軽量なので、根強い人気があります。中古市場に出ることもまれで、出てもすぐに売れてしまいます。
一時はあまりの人気で、中古の方が高いという現象が起きていました。70万オーバーの価格を見たことがあります。すぐにでも入手したいという人は、定価より高くても買ったのでしょう。
位相フレネルレンズは逆光に弱いなど、いくつか癖がありますが、この軽さと解像度の高さから、人気が続いています。

NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR S

2022年4月。Nikonからまた画期的な超望遠レンズが登場しました。ハチロクサンことNIKKOR Z 800mm f/6.3 VR Sです。手持ち撮影が可能な800mmの超望遠レンズです。
まんまとレンズ沼?にはまってしまったようです。でも、きっとこれが終着点だと思います。

NIKKOR Z 600mm f/6.3 VR S

ハチロクサンが最終兵器ではありませんでした。至近距離の撮影では、ハチロクサンの最短撮影距離5mを克服できるこちらのロクロクサンことNIKKOR Z 600mm f/6.3 VR Sを導入しました。重さも驚異的な約1.4kgです。
特徴が違うので、フィールドに応じてハチロクサンとロクロクサンの使い分けが必要です。

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Nikon Z 8 ボディ

Nikon Z9の縦位置グリップをなくして小型軽量化を実現したカメラです。
Z9の機能をほぼそのまま継承しているので、野鳥撮影にも最適です。もちろん、鳥を認識して目にフォーカスを合わせてくれます。縦位置を多用しない方にはおすすめです。
重さもZ9の1340gからZ8は910gと軽量化されています。フィールドで持ち歩くには最適で、女性にもおすすめです。

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位相フレネルレンズ採用の通称ロクロクサンと呼ばれる600mmF6.3の単焦点レンズです。
全長278mm、重量1470gで、600mmの焦点距離からは想像できないほど小型軽量です。レンズ単体で5.5段、Z9やZ8との組み合わせではシンクロVR機構によって6段分のVRにより、手持ち撮影が可能です。
DXフォーマットで使用すると900mmF6.3相当となります。野鳥撮影に威力を発揮します。
1.4倍、2倍のテレコンを使用しても画質の劣化が少なく、FXで840mmF9、1200mmF13、DXで1260mmF9相当、1680mmF13相当となります。
最短撮影距離が4mなので、野鳥が近い公園などでは有利となります。

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NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR S

位相フレネルレンズ採用の通称ハチロクサンと呼ばれる800mmF6.3の単焦点レンズです。
800mmの超望遠レンズとしては驚くほど小型軽量で、全長385mm、重量2385gしかありません。レンズ単体で5段分、Z9やZ8との組み合わせでは、シンクロVR機構によって5.5段のVRにより、手持ち撮影が可能です。
DXフォーマットで使用すると1200mmF6.3相当となります。野鳥撮影に威力を発揮します。
1.4倍、2倍のテレコンを使用しても画質の劣化が少なく、FXで1120mmF9、1600mmF13、DXで1680mmF9相当、2400mmF13相当となります。 最短撮影距離が5mあります。野鳥が遠い公園や小型の野鳥を大きく写したいときに有利となります。
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