Z8+NIKKOR Z 600mm f/6.3 VR S:レビュー

ハチロクサンこと800mmF6.3が手持ち野鳥撮影のための最強のレンズだと思っていましたが、1年半使用して、1点だけ残念な点が見えて来ました。
最短撮影距離が5mなところです。

近場の様々な公園が私の主なフィールドですが、人馴れした野鳥たちは、5m以下の距離まで寄ってくることがあります。公園によっては、特に冬鳥などで渡りからしばらくして人が悪さをしないということを認識すると、驚くほど近くの枝などにとまることがあります。公園の通路などは狭いことが多く、後ろに人がいてさがろうにもさがれず、ハチロクサンでは近すぎて撮影不能に陥ることがしばしば起きます。

以前使用していたゴーゴーロクこと500mmF5.6 PFは最短撮影距離が3mだったので、近すぎてピントが合わないということはありませんでしたが、ハチロクサンでは距離の問題で撮影不能に陥ることが頻発しました。

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NIKKOR Z 600mm f/6.3 VR S

そんな悩みを抱えていたとき、NikonからZマウントで位相フレネルレンズを使ったレンズ第二弾としてロクロクサンことNIKKOR Z 600mm f/6.3 VR S が登場しました。600mmになってしまうので、遠くの鳥には不利になりますが、最短撮影距離が4mなので、近くの鳥には有利となります。最短撮影距離の1mの差は大きく、撮影不可能が可能になる大きな違いです。

ハチロクサンは1本ずつ夫婦で使っていましたが、二人とも最短撮影距離があと数十cm短ければ完璧なのに、と言っていました。今までの経験から、おそらく馴れた野鳥が近くに寄ってくるときは、概ね4mから5mの間だという共通認識がありました。そのため、4mまで寄れたら今までハチロクサンで断念していた距離での撮影が可能となります。

購入

おりしも年齢のせいか、あまりに野鳥撮影に行き過ぎのせいか、4日連続でハチロクサンを持ち歩くとさすがに肩こりと背筋痛が出るようになってきたので、ロクロクサンの超軽量の仕様も魅力です。

そんな話をしていたある日、ダンナが私用のロクロクサンを買ってきてくれました。二人でハチロクサンを使っていると、二人とも近距離の野鳥が撮れなくなりますが、一人がロクロクサン、一人がハチロクサンを使えば遠方の野鳥も近距離の野鳥も撮影できる万全の体制ができます。

そんなことで、公園の種類や季節によって、私はロクロクサンとハチロクサンを適宜使い分ける運用をしていこうと思います。野鳥撮影は一応仕事なので、二人で撮影不能に陥ることだけは避けなければなりません。近すぎてピントが合わなくて悔しい思いをすることもなくなります。どちらかが撮れていれば良いのです。

使用感

やはりまずロクロクサンの軽さに驚きました。ハチロクサンも800mmとしては驚くほど軽いレンズですが、ロクロクサンに持ちかえると夢のように軽く感じます。移動時も撮影時も圧倒的に楽になります。

Z8との組み合わせでは、重心点は丁度三脚座辺りになり、全長からするとかなりカメラ側になります。重さもさることながら、重心点がカメラ側に寄っていることから、ますます軽く感じるのかもしれません。大変持ちやすく、長時間目の前で水平に構えていることが可能です。

鳥が近い公園でテストしましたが、今までハチロクサンでは近すぎて撮れなかった距離でもピントが合うので気持ちよく撮れました。今までそこがハチロクサンの唯一のジレンマだったのですが、見事に解消されました。AFの速度も爆速ではありませんが、必要十分です。

何度も公園に通っていると、その公園と野鳥の特性が見えて来ます。傾向としては、広い公園は野鳥との距離が遠く、狭い公園は近い気がします。普段4か所ほどの近場の公園をまわっていますが、面白いことにどれも特性が大きく異なっていて、鳥の種類も違いますし、鳥との距離感も大きく異なります。ハチロクサンが向いている公園、ロクロクサンが向いている公園があります。それに応じて持っていくレンズを選択できるようになりました。

操作感

Fマウントレンズにはありませんでしたが、Zマウントレンズの多くにはコントロールリングがついています。これが使い慣れると大変便利で、私は露出補正を割り当てています。フォーカスはほぼAFに任せきりなので、左手はレンズを支えながら露出補正の役割を担います。そうすると右手はシャッターに集中することができます。

幸い、ロクロクサンにもコントロールリングがありますので、ハチロクサンとまったく同様に違和感なく使うことができます。

手ブレ補正

懸垂が一回もできないほど腕力がないのですが、VRのお陰で800mm、600mmといった超望遠レンズで手持ち野鳥撮影ができています。レンズの手ブレ補正は十分なのですが、被写体ブレがあるので、ハチロクサンもロクロクサンも、野鳥撮影時の低速限界は1/60秒程度としています。そんな低速でもロクロクサンはシンクロVRで6段分の補正が効くので、私でもブレずに撮影できてしまいます。技術の進歩に感謝です。

シャッター速度1/60秒、VRモードノーマル、手持ち撮影
上の写真の部分拡大。600mmを1/60秒手持ち撮影ですが、シンクロVRのお陰で被写体が動かなければブレずに撮れます。一昔前だったら腕力がない自分には撮れなかった写真です。

DXフォーマットで使っているので、画角は900mm相当です。1/900秒を基準とすると、計算上6段分の手ぶれ補正は約1/15秒まで効果があると言うことになります。驚異的です。

解像感

ハチロクサンと同様、大変シャープでクリアです。Z8のDXフォーマットでの撮影ですが、期待通りの解像度とコントラストです。

上の写真の部分拡大。目にピントを合わせていますが、周辺の羽毛を1本1本解像しています。B4カレンダーに十分使えるレベルです。

問題点

唯一の不満は、ストラップ取り付け金具がないことです。いくら軽いとは言え、1.4kgあり、Z8の910gの1.5倍ほど重いわけですから、ボディに付けてボディ側でぶら下げるよりも、レンズをぶら下げてそれにボディを付けるイメージの方が安心感があります。

ハチロクサンはストラップ取り付け金具があったのでリュックのハーネスに取り付けてレンズを主体にすることができましたが、ロクロクサンは工夫が必要になります。
現在はレンズフットに取り付けたストラップ取り付けホール付きのアルカスイス互換プレートを装着してハーネスからぶら下げています。それでもレンズの左右に取り付けられているストラップ取り付け金具とは異なり、ぶら下げた時のバランスが悪くなります。ぜひ改良していただきたいポイントです。

撮影例

すべてZ8のDXフォーマットで手持ち撮影です。絞りはすべてF6.3開放です。


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Nikon Z 8 ボディ

Nikon Z9の縦位置グリップをなくして小型軽量化を実現したカメラです。
Z9の機能をほぼそのまま継承しているので、野鳥撮影にも最適です。もちろん、鳥を認識して目にフォーカスを合わせてくれます。縦位置を多用しない方にはおすすめです。
重さもZ9の1340gからZ8は910gと軽量化されています。フィールドで持ち歩くには最適で、女性にもおすすめです。




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Z9用ですが、液晶サイズが同じなので、Z8にも問題なく使えます。

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NIKKOR Z 600mm f/6.3 VR S

位相フレネルレンズ採用の通称ロクロクサンと呼ばれる600mmF6.3の単焦点レンズです。
全長278mm、重量1470gで、600mmの焦点距離からは想像できないほど小型軽量です。レンズ単体で5.5段、Z9やZ8との組み合わせではシンクロVR機構によって6段分のVRにより、手持ち撮影が可能です。
DXフォーマットで使用すると900mmF6.3相当となります。野鳥撮影に威力を発揮します。
1.4倍、2倍のテレコンを使用しても画質の劣化が少なく、FXで840mmF9、1200mmF13、DXで1260mmF9相当、1680mmF13相当となります。
最短撮影距離が4mなので、野鳥が近い公園などでは有利となります。




NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR S
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NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR S

位相フレネルレンズ採用の通称ハチロクサンと呼ばれる800mmF6.3の単焦点レンズです。
800mmの超望遠レンズとしては驚くほど小型軽量で、全長385mm、重量2385gしかありません。レンズ単体で5段分、Z9やZ8との組み合わせでは、シンクロVR機構によって5.5段のVRにより、手持ち撮影が可能です。
DXフォーマットで使用すると1200mmF6.3相当となります。野鳥撮影に威力を発揮します。
1.4倍、2倍のテレコンを使用しても画質の劣化が少なく、FXで1120mmF9、1600mmF13、DXで1680mmF9相当、2400mmF13相当となります。
最短撮影距離が5mあります。野鳥が遠い公園や小型の野鳥を大きく写したいときに有利となります。

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